佐藤弁護士によれば、片山氏にはC#でプログラムを作成する能力はなく、キーロガーや画面キャプチャなどの高度な機能を実装することはできなかったはずだという。しかし、自己増殖し存在を隠ぺいする高度なウィルスならまだしも、iesys.exeはトロイの木馬である。見えないところで動くとはいえ、ごく普通のプログラムなのだ。簡単だとまでは言わないが、ひな型になるような元のプログラムさえあれば一定のスキルをもつ人なら作成することは可能だったかもしれない。
弁護士が容疑者の言い分を信用し、無罪を主張するのは当然のことであって、それは正しく犯罪を扱う上で不可欠だから、弁護士の言動には何の問題もない。しかし、一方で傍証がそろい過ぎているという印象はぬぐえない。
仮に片山氏が無罪だと推定すると、真犯人は明らかに片山氏を陥れようと監視していたことになる。つまり、片山氏も被害者の一人であるということになる。そうだとすれば、片山氏が監視されていた証拠が見つかってもおかしくないわけで、その点についての捜査が行われているのかが気になるところだ。
一方、片山氏が真犯人その人であると仮定すると、彼は巧妙に証拠を隠滅し、直接的な証拠を残さないほどに慎重で「賢明」な人であったということになる。いくら捜査しても、証拠は出てこないかもしれない。あるいは、捜査の途中で感づかれて十分な隠滅を行った可能性さえある。携帯電話や、真犯人からとされる写真にうつっていたフィギアなどを処分してしまっているのだから。
正直なところ、1回目の逮捕が処分保留になったということは、いったん釈放された段階では証拠が十分にそろっていないということだろう。本人の取り調べなく先に進むことはもはや難しいとさえ感じさせる。つまり、彼が真犯人かどうかにかかわりなく、やはりこの一連の事件で起訴、有罪という道筋をたどることには大きな困難を伴うということだ。新しい証拠が出ればまた話は別だが。
そして真犯人を割り出すことができないということになれば、累犯が出てくることは避けられないだろう。それはそれで最悪のシナリオだ。どう考えても、トーア(Tor)を禁止しろだとか、Torを遮断できる高機能なパケットフィルターを導入しろ、ネットカフェを監視しろといった事になってくるに違いない。
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