2013年2月4日月曜日

山を作る人



くまもとのジイちゃんが
「山ば作られるカミサマはおられっとよ」
 と、夏休みに川で遊んでいるときに、急にボクに言った。

はじめはなんのことかぜんぜんわからなかった。


ジイちゃんは、むこう岸からことばをほうり投げるようにして、せつめいした。
「けんすけ、すなばで山ば作ったことあるとよ?いっしょけんめい、つんでも、つんでも、次の朝に見てみんしゃい。山ば、くずれとー。じゃけん、山作りのカミサマがワシらの見えんとこで、ぎゅっし、ぎゅっし、と固めておられる。ワシはずいぶん小さいときに、一度だけその音を聞いた」
けんすけが川から上がると、せみの声が遠くなって日がかたむき、山のかげがおおいかぶさってくるような気がした。

こわくなって、急いでジイちゃんの手をつかんで、

「早くかえろ」

と言った。夕ごはんを食べたら、そのことはもう忘れていた。

その夜、ろうそくがゆらゆらしている部屋で、やさしい声なのにこわい顔をした変な人が、ぼくにはわからないことをつぶやいていを見た

山を作るのはカミサマじゃなくて、このオニみたいな人じゃないかと思った。でも、ぎゅっし、ぎゅっしという音は聞こえなかった。

この人は山作戰という名前で、木曜10時にここに行くと会えるらしいとあとで知った。


山の写真