2013年2月25日月曜日

セマンティックからクラウドへ

先日あるブログを見ていたら、本分の1文字目だけサイズと色を変更するってのをやってました。これどうやってんのかなと思って CSS を見てみると、:first-letter という疑似クラス指定でした。こんなのまでCSSにできてんのかと思って調べたら、IE5.5あたりから実装されているらしい。知らなかった。

HTMLは5になってむしろシンプルになったという印象だけど、CSSの複雑怪奇さはすでに素人の手に負えるものではなくなっている。しかし、そんなことを気にしなければ、HTMLなんて10個か、せいぜい20個くらいの要素(一般にはタグといいますが、正確に要素と書きます)を知っていれば十分。html,head,body,h?,ol,ul,li,a,img,table,tr,th,td と、まぁそんなもんでしょう。つまりは一見複雑怪奇に見えるWebページもすごくシンプルに記述することができるわけ。複雑さの深い淵を避けて通れば何も怖いことはない。


HTMLは簡単な技術なわけです。そしてだからこそ流行った。

ところで、W3Cのティム・バーナーズ=リーがセマンティックウェブを提唱して、Web2.0とかRDFとかオントロジーとかを始めてから、はっきりとは覚えてないのですが、もう10年以上経ったように思います。こいつはとにかくシロートにはいくら説明されても分かんないような、学術的な匂いがプンプンする代物で、そこを越えられるかどうか心配だったわけですが、案の定盛り上がったりはしなかった。シロートを説得できない技術は、いくら素晴らしい技術でもやはり流行らないのですね。

Googleはセマンティック=意味ではなく、自然言語の検索だけで、世界中の情報のありかを提供し、関係性も作り上げてしまいました。セマンティックは技術の中でひっそりと今も息づいてはいるけれど、それは隠されたものになっている。しかも、標準技術とはいえない闇の存在です。

また、Twitter は @ と # を特別な存在に変えてしまいました。「@Ume108」を見ればそれはツイッターのアカウントだろうと思うし、「#ぼくなまはげ」と書いてあればそれがハッシュタグだと誰もが思うようになりました。セマンティックウェブがXMLのややこしくて厳密な記述規則に縛られているのに比べて、なんとシンプルな世界でしょう!誰にでもわかる世界。

セマンティックウェブが情報の意味をコンピュータが処理しやすい形で記述しようとしたのに比べて、GoogleとTwitterのこのシンプルなアプローチは、マシンにはさほどやさしくはないが、ほどほどに人間と機械が両方扱いやすい形式になっているんですね。ある特定の人を識別するのにURIやRDFを使うのではなく、@Ume108みたいなことと、Twitterの認証(OAuth)で十分なわけです。

もちろん、それらの仕組みが動く裏ではクラウドと呼ばれるAPIが動いていて、それらはある意味でセマンティクです。HTML5もセマンティックの要素を取り入れた形になっている。でも、世界はGoogleとTwitterで、そしてFacebookあたりを追加すればもう十分につながりが整理されてきている。シンプルですぐに使える技術ってのが、本物になるってことなんでしょう。

この先にはいったい何があるのでしょうね。そろそろ人間の感情や意志を何らかの形でネットワークで扱えるといいのになんて「イイネ」「リツイート」ボタンを見ながら思ったりしましたが、あまりそこまで必要ねーかもななどとも思ったりして。

緩やかに人と人がつながるシンプルな仕組み、この先にでてくるんでしょうか?物理的に体にチップ埋め込むのだけは勘弁だけど、iPhoneやスマートホンを常に携帯しているんだから、すでに精神的な意味では埋め込まれてるのと大差ないような気もしますけどね。

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