「なぜこんなに苦しいの」から始まって「世間にしかられて」「自分のズルさ」「責めさいなむ」「甘えたい」「満たせない」と心を切り裂く言葉が畳みかけてくる。恋の歌のストーリーで書かれているのに、「大人の器」から日常の期待された「大人」について連想させられて、だんだんつらくなる。恨み節のようにも聞こえる歌なのに、いやだからこそ聴きたくなる凄みを持っている。この曲を書いた人の生き様が、まっすぐに何の飾りもなく、とってつけたポジティブさや希望の飾り付けも排した形で、刃(やいば)を前にしたように語られる。その語りに深く心をえぐられるのだ。何度聞いても涙なくしては聞けない、だれにもかけなかっただろう曲。
ただ、決してネガティブな気持ちになるわけではない。何事も解決しないにせよ、涙を流すことは苦しみを洗い流す魔法である。そして自分自身に直面し、立ち向かうことでもあるのだと言い聞かせて前を向いている。
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1.ひねもす/2.並木道/3.ふたりのいる朝/4.温度/5.ぼくもいない街/6.いなもと/7.ぼくもないている/ 8.だいっきらい/9.大人の器/10.ディナーショウ の10曲 - 山作戰のウェブサイトはこちら http://www.yamasakusen.jp/
- SoundCloudでの試聴もできる
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